ベース製品レビュー/Free The Tone Custom Efector Series/BASS BLASTER “BB-2”

2019年2月12日

貴方の思い描く理想のベースドライブとはどのようなサウンドであろうか、ベーシストの低音への探究の旅は永遠に続く。

今回はミュージカルインストゥルメントの最高峰 Free The Toneが製作した全てのベーシストへ捧ぐ、究極のドライブストンプをご紹介したい。

バンドサウンド内でのベースを強く、存在感あるものへ導く為に生まれたオーバードライブ

"ベースサウンドを強く、存在感あるものにする為に、チューブアンプをドライブさせて使用した時のような歪みをエフェクターで再現できないであろうか"

このエフェクターはある著名ベーシストのそんなアイディアから誕生した。チューブアンプをドライブさせたかの様に、ベース単体で聴くと少し歪んで聞こえるがバンド全体で聴いたときには歪んで聴こえるようなサウンドを求めて開発された。正にアンサンブルの為のオーバードライブなのだ。

ベースが本来持つ特性を失わない、タッチニュアンスの高い再現性

また、タッチの再現性にも非常に優れている。強くピッキングすれば歪んだサウンドだが、そっと弾けばクリーンなサウンドが得られるという事も重要な要素として開発されており、指弾きとピック弾きでのニュアンスの違いも損なう事なく再生することができる。

実際にプロベーシストの方にプレイしてもらいながら何度も音の詰め行って完成に至っており、多くの著名なベースプレイヤーの足元に組み込まれていることからもその高い評価を伺い知ることができるだろう。

幅広いサウンドに対応するEQセクションとコントロール

非常に高度な要望に応えたサウンドでありながら、シンプルなコントロールなのには驚かされる。搭載するEQセクションも無論ベースに特化した仕様となっており、効きの良いBass/Trebleのコントロールはアンサンブル内で重なってしまう帯域を簡単に調節できる。Gainの効きも非常に滑らかで、使用者は直ぐに理想のドライブサウンドを構築することが可能だろう。

*使用評価

このオーバードライブには2度驚かされる。1度目は初めて音を鳴らしたとき、直ぐにその実力を目の当たりにすることとなった。何とも音楽的なベースサウンドが鳴るのである。全ての音域に厚みがあり、尚且つピッキングレスポンスが鋭い。筆者は真空管アンプを使用した経験は無いが例えるならばそれが最も相応しい、70年代のジャズフュージョンにおけるドライブ感のあるあのベースサウンドのようなあのニュアンスがアンプから放出されたときは感動にも似た湧き上がるものがあった。

2度目はアンサンブル内で使用したときである、あれ程にもにも音を重ねるのが楽しく感じたことは初めてであった。2度目は特に衝撃的だった。音と音の間に非常にグルーヴィーな繋がりが生まれ、思ったままにコードが流れる印象だった。身体からアドレナリンが放出されているのだろう、妙に中毒性があり、いつまでもベースを弾いていたくなる。そして不思議なことにアンサンブル内では歪んで聴こえないのであった。強くピッキングすると歪む為、強弱のニュアンスを意識しないとその辺りの癖には若干慣れが必要になると思う。

EQセクション部は非常にタイトで効きが良いが、ツマミを回していると唐突にブーストしてしまうようなありがちなタイトさは無く、理想的なトーンバランスを探しやすい。友人のギタリストに試奏してもらったところ、彼曰く「ピッキングニュアンスの硬さを調整できるEQ」との評価を得た。また、Gainを最大まで引き上げても音が破綻することも無く、10時ツマミ程度ならばピッキングのニュアンスを最大限に活かせ、最大域では粒の揃ったディストーション的な歪み方を得ることができる。

今は筆者にとって欠かせない機材となっている。

さすがはFree The Toneといったところで、どの面をとっても抜かりなく開発されている。バッファー回路も非常によく出来ており、繋いでいるだけでも若干コンプ掛かったような、音の粒が揃う印象を受けた。ブルーのLEDランプの視認性の良さにも、エフェクターの視認の問題でライブでのミスをしたことのある筆者にとっては有り難い点であった。

*Free The Toneとは

最後にFree The Toneについてご紹介したい。

Free The Toneとは、かつてX(現X Japan)のギタリスト故HIDE氏のギターテックを務めた林幸宏氏を中心に、株式会社パシフィックス(Providenceブランドのメーカー)の傘下として2002年に設立され、Providence製品の開発・設計・生産の責任者として従事しつつ、多くの著名ミュージシャンのシステム設計を手掛けその名を広める。その後2011年に独立し、現在は3名のエンジニアが、現代のミュージックシーンには欠かせない存在として活躍している。

Free The Toneは「音を解き放つ」という意味を持ち、ロゴは代表の苗字である 林 をモチーフにしている。

THE HOLISTIC APPROACH TO SYSTEM DESIGN
機械としてではなく、音楽全体を捉えたアプローチで
システムをデザインする、正に同社の体現である。

<紹介した製品はこちら>

https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/425079

※Free The Tone/Custom Efector Seriesは2018年12月を持って生産終了とのアナウンスがされており、2019年1月現在メーカー公式サイトでは購入不可となっている。その為市場に出回っている商品も在庫数限りの可能性が高い。購入を検討する方は中古品を含めてその動向に注意して頂きたい。

<Free The Tone使用アーティストはこちら>

http://www.freethetone.com/artists/

名前をクリックすれば、同社が設計した第一線で活躍するアーティストのエフェクトボードやラックシステムをチェックできるので注目だ。


ベース,音楽

Posted by goro