徹底考察「田中和基の応援歌」はなぜあそこまでダサいのか

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として瞬く間にその知名度を球界全体に広げた田中和基の応援歌。各所で「ダサい」と酷評されまくり、楽天ファンからは悲しみと怒り両方の声が非常に多く聞かれた。一体なぜこんなに不評なのか。真面目に考察してみようと思う。

なお、田中和基選手とこの記事は一切関係ありません。タナカコードといった単語はあくまで「田中和基選手の応援歌に代表されるコード進行」の略称のことであり田中和基選手との関連性は皆無であることを改めてお伝えしておきます。

なぜかD♭Major、変ニ長調

この記事を読んでいる方はもうとっくに聖歌をご拝聴のうえのことだと思うが、もう一度聞いていただこう。

https://youtu.be/xDPUu7n7nK8

絶対音感のある方であればすぐに判断できるかと思うが、この曲はD♭メジャー、変ニ長調である。まず、トランペットで演奏する応援歌としてD♭を使うセンスは絶望的である。

トランペットはB♭管という楽器で、何もピストンを押さえない状況で音を出すとB♭の音が出る。それにより、殆どの応援歌は吹きやすいことを理由にB♭を基準に作られた(B♭Major)曲が殆どなのだ。なのに田中和基はD♭Major。一体なぜD♭Majorを採用したのかなあ、といった感じ。

大原則として、応援歌っぽい応援歌を作るときにはメジャー(明るい曲)であればB♭、E♭、マイナー(暗い曲)であればDm、Gm、Cmにするという暗黙の了解がある。

具体例を挙げていこう。まず大前提としておそらく7割の選手の個人応援歌がB♭メジャーで書かれている。筒香も山田もそのなかの一人だ。

ちなみにE♭メジャーとなると森友哉、SB鷹の道や中日チャンテ3。

マイナーへ行こう。Dmで有名な選手でいうと坂本や中村翔吾。チャンテはGフレアや阪神チャンテ襲来、広島のチャンテ3など。

Gmはオリックスのタオルやロッテチャンテ4など。

Cmは阪神大和や巨人バタフライ、ロッテチャンテ3中日チャンテ2など。知識がないのでパッとなかなか出てこないが、このなかだと阪神大和がいちばん好きかも。(どうでもいい)

ざっと有名選手の音源を確認したが、殆どの個人応援歌はB♭なのに対し、それ以外の調はチャンテで採用されている傾向。応援歌の鉄則として、調性でチャンテと個人の差別化を図っているのかもしれない。このあたりは改めて記事にしようと思う。

D♭メジャーを採用している応援歌は殆ど無い

少なくとも私は見つけられなかった。ご存知の方はよければコメント欄へ書き込みお願いします。

逆に、この鉄則をあえて無視する場合、その意外性を突く必要が生じる。当然例外はある(たとえばG岡本はCメジャー)が、残念ながら田中和基のD♭はダサかった。まず、曲の大原則となる調のセレクトからミステイクと言わざるを得ない。ちなみにオコエのるいるい!もD♭メジャーである。

さきほど岡本を例に挙げたが、実はこれには意味がある。B♭を2キーを上げるとCになり、Cを半音上げるとD♭になる。Cでいちばんかっこいい曲だと思うのはヤクルトの荒木。B♭で歌ってもかっこいいが、これを2キー上げることにより高揚感と素直さを醸し出すことに成功している。他には巨人勝ち取れ。大抵の応援歌では高いファの音が最高だが、2キー上げることによって高いソの音を歌うことになり、いかつくなっている。

調にはそれぞれ音色があり、たとえばベートーベンの運命があそこまで悲壮感を漂わせているのは「ハ短調」の調性を活用しているからだ。あえてB♭を使わない場合、ただでさえB♭=応援歌という調性が定着してしまっているからこそ調性を活かしまくる必要性が生じる。

しかし田中和基には全く調の特性というものが生かされていない。ただ、D♭が悪いわけではなく、米津玄師のLemonはD♭で書かれている。

結論:普通は採用されないD♭メジャーの曲なのに、全然調の特性が活かせていないからただ応援歌っぽくない何かに仕上がってしまった。

悪い意味で予想を裏切るコード進行

これが田中和基の応援歌のコード。Db Bbm Eb Abm7というTHE JPOPのイントロからDb,Gb,Db,Ab7のⅠⅣⅤしか出てこないという体たらく。

少なくともイントロが上記のような進行であれば、かーずきwたなかかーずきーwをFm→Bbmとするのが正解といったところか。

なぜイントロでBbmを仄めかしておきながらすぐDbに解決しようとするのか理解に苦しむ。この曲の圧倒的なダサさは「かーずきーたなかかーずきー」の部分に集約されていると言えよう。ここで冒頭と同じ和音を持ってきてしまったことによって非常におそまつな雰囲気になってしまったのだ。

「タナカコード」とでも名付けたらどうだろうか。このコードにかっこいい旋律を乗せてください、という楽天の試練なのかもしれない。

フリー音源がダサい

これについては自明の理であるので詳しい言及は避けるが、明らかに安っぽい音源を使っている。WindowsのデフォルトのMIDI音源でも使ったんだろうか。音楽に詳しくない方に説明すると、フリー素材などお金のかからない音楽には無料配布されているちゃっちい音源が使用される。当然楽器にはそれぞれの音色があるが、フリー音源のそれは「何かの楽器に似せた電子音」もしくは「電子音らしい電子音」のどちらにも該当せず、「安い音楽ですよ」感を醸し出す。

もう少しお金をかけられなかったのか。

リズムがダサい

ずっと4つ打ちのドラムって…脳死でドラムを叩く痛々しい高校によくいる軽音の勘違いドラマーじゃないんだから…

明らかにセンスが80年代のそれにも及んでいない。ユーロビートでももっと気を使ったベタ打ちをする。ドラムの4つ打ちはまず初心者が基礎練として行うパッセージあり、これを基本として様々な応用を効かせ曲にしていくわけで、ずっとこれを叩き続けるのは単純に手抜きとしか言いようがない。

生演奏してみるとダサくないというごまかし

プロ野球シーズンが開幕し、ようやく私もトランペットによるごっwwwごっwwwかーずきーwwwを聴くことができたが、確かに第一印象としては悪くないじゃんと思った。

しかし!

トランペットは単音である。コードを脳内補完することは可能であり、聴く人間の音楽センスが常識以上あれば普通に先述したコード然りある程度起伏をつけることは可能となる。だからこそあのクソダサ伴奏のある打ち込み音源を大音量でコボスタで流そうとする楽天が信じられない。

そしてやっぱり太鼓はダサい。プロが野球の応援スタイルはドラムセットでなくタム1つが原則(楽天はバスタムとスネア使ってる?)で、ごっごっかずきの部分はうまいことスネアとタムを使い分けられているが、どうやらかーずきーたなかかーずきーの部分では脳死状態でタムをどんどんどんどんするしか手がなかったようで、万策尽きた太鼓の音が球場に鳴り響いていた。

そして、フリー音源と比較したら生のトランペットのほうがよく聴こえるというのは猿でも理解できる理屈であり、ホーム球場でトランペットが禁止の楽天球団が作った応援歌に対する擁護には一切なっていないというのがまた皮肉である。

楽天ファンのなかにも、なぜこんなにださいのかと気になっていた方もいると思う。そんな方に読んでいただけたら幸いである。球団と応援団のあり方など問題の本質はまた別のところにありそれはそれで議論されるべきだが、この記事ではこの楽曲のクオリティについての言及留めたい。

最後にこの記事が好評であれば、今後も応援歌の楽曲分析記事を書いていきたいと思う。ぜひ取り上げてほしい応援歌があればコメント欄へ。