〜激安ベースが生まれ変わる!?〜フレットレスベース自作術
そこのベーシストのあなた、あなたですよ。
押入れの中にあの思い出の1万円のファーストベースが用途も無く眠ってはいないであろうか。セカンドベースを手に入れてからは放ったらかしにしている…なんて思い当たる方も多いのでは?
この記事ではそんなベースを生まれ変わらせる「フレットレス」の概要と自作法について紹介していきます。
※この記事で紹介する方法によってお使いの楽器に損害が生じた場合でも当ブログは一切の責任を負いかねます。予めご了承ください。
*フレットレスとは
勿論おわかりだろうが、ギター・ベースの指板にはフレットと呼ばれる音を正確に区切るための(鍵盤を想像してほしい)金属製の仕切りが付いている。これらを抜いてしまうことで隣り合う音同士の区切りが無くなる(こちらはバイオリンやウッドベースがわかりやすい)ことで多様な音色や独特のトーンを得ることが出来る。その一方で、均一な音が出すのが難しくなり、演奏に工夫が必要となる。
筆者はジャズフュージョン系の音楽を演奏していることもあり、ウッドベースのような独特のニュアンスを求めて2本目のベース購入を機に1万円で購入した入門用ジャズベースの改造に踏み切った。
○著名なフレットレスベーシスト
○ ジャコ・パストリアス
彼を語らずとしてフレットレスは語れない。 ジャズフュージョン界でエレキベースの地位を確立し、革新的なテクニックによってエレキベースをアンサンブルでの花形楽器に押し上げたと言われる天才ベーシスト。通称Bass of doomと呼ばれる60年式ジャズベースをフレットレスに改造して使用していた。(ここでは、このベースの改造法を基に監修している)
○スティーブ・ベイリー(steve bailey)
6弦×フレットレスという誰もが認める変態ベーシスト。主にセッションベーシストとして活躍している。動画内の使用ベースはfenderのシグネチャーモデルであるが、現在はwarwickのシグネチャーモデルを使用している模様。
*フレットレス制作方法
前置きが若干長くなりましたが、ここからは本題のフレットレスの制作方法を紹介します。
○使用するもの
・ラジオペンチやニッパー
→ 食い切りという工具があると望ましいが、1000円程度するので、無理に買わなくともラジオペンチ・ニッパー等でも作業は出来る。
・サンドペーパー
→ 120〜1000番程度まで揃えると望ましい。
・木の端材
→フレット溝を埋める為に使用する。 こちらはパテ等、木材でなくても良いものの、木材の方がネックが反りにくいらしい。 木材は指板材と異なる色のものを使用するとフレットラインにもなるので一石二鳥である。 Bass of doomでは、ローズウッド指板にメイプルの端材を使用していたそうだ。 (筆者はメイプルを入手出来ず、ホームセンターで手に入れた松の木の端材を使用した)
・木工用ボンド
→木の端材とともにフレット溝を埋めるために使用する。
・細めの棒ヤスリ
→ナット溝を加工する際に使用。そこまで神経質に揃える必要はないが、自身の楽器のナットの材質で考慮してもらいたい。一般的な牛骨ナットならば紙ヤスリでも削ることが出来る。
・アイロン
→フレットを抜く際に使用する。
・濡れ雑巾
→アイロンと同じくフレットを抜く際に使用する。
・クリアスプレー塗料
→弦によって傷から指板を保護するコーティングをするために使用する。これによりラウンドワウンド弦も使用可能に。本来ならばエポキシ樹脂でコーティングするが、非常に手間がかかるのと入手できなかったため、筆者はラッカースプレー2缶でコーティングした。ウレタン系の塗料等でも大丈夫かと思われる。
・マスキングテープ
→塗装時の保護に使用する。
○製作前に注意すべきこと
・勿論、弦は外すこと。
・ネックはフラットな状態が望ましい。
・ネックは外せるならば外すのが望ましいが、セットネックやスルーネックなど外せない場合はボディをしっかりと保護すること。(ネックを戻す際にはネジ穴を潰さぬよう注意しましょう)
・ローズウッド指板は割れにくく作業しやすいが、メイプル等の指板は割れやすいので注意して作業するよう心がけたい。(どちらにせよ欠けてしまったら無論修復が必要)
・指板は割れ防止の為にオイル等で予め湿らせておくと良い。
○製作手順
①濡らした雑巾を指板に乗せて、その上からアイロンをかけてフレットを温める。
→温めることでフレットが抜けやすくなる。
②温めたフレットをラジオペンチ等で抜く。
→フレットの両端を上に引っ張ると上手く抜くことができる。指板が欠けないように注意しよう。
まずこの①②の手順を繰り返し、全てのフレットを抜いていく。段々慣れてくると気持ちよく抜けるようになるはずだ。
③ささくれや毛羽立ちを無くすため、一度軽く指板をやすりがけする。
④フレット溝を木の端材と木工用ボンドを使って埋める。
→その前にフレット溝に溜まった木粉を掻き出しておこう。
⑤指板Rを少々気にしつつやすりがけして、指板に凹凸無くフラットに仕上げる。
→ここが腕の見せ所だ。指板サイドもお忘れなく仕上げましょう。
⑥指板を保護するため、クリアスプレー塗料で塗膜を形成する。
→1〜2mmほど形成できれば問題無しです。 指板以外に塗料がかからぬよう、ネック裏・ヘッド等しっかりとしたマスキングが必要だ。塗装作業は風通しの良い屋外で行い、塗装はしっかりと乾燥させよう。
⑦ナット溝を削って加工する。
→ナットを調整しないと弦高が高く、弾きにくいベースになってしまいます。横幅を削らぬよう注意を払いつつ、フレットの高さ分、ナット溝を削りましょう。フレットレスは構造上解放弦以外ナットの高さはゼロでも問題無いので、深さに関してはそこまで慎重になりすぎなくても大丈夫だ。(筆者はこの部分を適当に仕上げてしまい、弦のビリつきか出てしまった…)
⑧ネックを戻して弦を張り、全体調整をする。
→弦にビビりつきがないか注意する。弦高調整、オクターブチューニング、ネックセッティングをすればOK!
全工程は終了、完成です!
○制作を振り返る
いかがだっただろうか。作業時間は一気にやれば2,3日もあれば完成できます。工具等は筆者は100均で揃えることができ、お金もそこまではかからず最終的には3000円弱程度の予算で済ませることができた。
この一通りの作業を楽器屋さんや工房に預けるとおよそ2万円〜3万円程度の工賃がかかるため、かなりの節約にもなるかと思う。しかし筆者も作業を失敗して雑な仕上がりになってしまった部分がいくつもあったため、高価な楽器や大切な楽器はプロにお任せするのをお勧めする。
*自作改造フレットレスベースを使用してみて
筆者のベースの仕様としては、本体価格1万円のメイプルネック・ローズ指板・木種不明の重たいボディの一般的なJBスタイル、ピックアップ等全てストック状態のベースにフレットレス加工を施した仕様です。
弦は ロトサウンドのswing bass、ラウンドワウンドを使用しています。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/844/
(ジャコ・パストリアス御用達弦です。ロック向きのブライトな弦ですが、彼は敢えてフレットレスにラウンドワウンド弦を張ることであの独特のサウンドを得ていたそう)
完成後、スタジオに持ち込んでみました。総評としては……
生まれ変わりました!
凄くいいです、何より弾いてて本当に楽しい。特に1弦ハイフレットを弾いたときの正にウッドベースの様なあの倍音成分豊かなニュアンスには感動しました。左指の力の入れ具合で音色が変わるのも斬新ですし、トーンを絞るのが非常に楽しくなったように思えます。トーンコントロールでウッドベースのような短いサスティーンにも、ジャズベースらしい倍音を持ったブライトなサウンドにも変化できるイメージです。友人のギタリストにも気に入ってもらえて、いつも「演奏させてくれ」と可愛がられています(笑)。
フレットレスと聞くと演奏するのがかなり難しいイメージがあったのですが、フレットラインもあるし、思いのほか慣れえしまえばそこまで神経質になる必要もないと思います。(しかしながら細かいメロディーラインを正確に弾くのは結構大変です)
これはラウンド弦と指板コーティングが効いているのだと思いますが、思いのほかサスティーンも十分にあり、トーンコントロールでどんなジャンルでも攻められると思います。ウッドベースのようなサウンドを求めるなら、フラットワウンド弦を張るのがオススメです。
機能的欠点を挙げるのであれば、
・ネック反り等によるハイフレット付近のデットポイントが顕著に現れやすい。 ・ラウンド弦の場合、弦が若干滑りやすい。
等が挙げられます。
*総評
元は1万円の押入れにしまわれた業界最安値ベースが、今ではライブでのサブベースとして活躍してもらっています。一度手を染めるとフレットレスの沼から抜け出せそうにありません…。そのくらい楽しいです。 また、自分で改造したベースで演奏する、この悦びと愛着もひとしおです。
セカンドベースを入手し、もし筆者と同じような境遇のベースがあるのならば… 「フレットレス化」本当にオススメです!!
最後まで読んで頂きありがとうございました。 今回がわたくしの当サイトでの初投稿記事となります。今後もどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m