ちぃたん☆騒動に揺れる須崎市としんじょう君、頑張れ!!!

人気きぐるみキャラクター「ちぃたん☆」の須崎市観光大使電撃解任の余韻が冷めやらぬ中、なんと須崎市がちぃたん☆の運営会社に対し活動停止も申し入れ、場合に応じては訴訟も辞さない構えを表明しTwitterでは須崎市が大炎上するという大変な事態になっている。

一連の流れについては後述するリンク含め各自確認して頂きたいのだが、そんなしんじょう君は須崎市でどのように扱われているのかというのを少し紹介していこうと思う。

なお、この一件において私は全面的に須崎市を支持するし、なによりちぃたん☆ブームの前からずっとしんじょう君のファンである。そして何より重要なことで、決してちぃたん☆に対して悪いイメージを抱いているわけではないし、ちぃたん☆とそのファンには全く罪はないと前述しておく。

高知県須崎市

須崎市は高知県中部に位置する総人口約20,000人のごく普通の田舎町だ。街全体が海に面しており、漁業が盛んで魚がとても美味しい。そして、絶滅したとされるニホンカワウソが最後に確認された街として有名である。そのカワウソが発見されたのが市内を流れる「新荘川」。そう、「しんじょう君」の名前はここから来ている。

Twitterでいろんな噂が…しんじょう君ピンチ!
のぼり旗がいっぱい!まさに壮観(?)

ご覧の通り、本当に須崎の街はしんじょう君で埋め尽くされている。地元の人にも愛されているキャラクターであることは間違いない。

道の駅かわうその里すさき

新荘川の河口付近にある、国道56号沿いに建つ道の駅。【公式サイトHP】

のるしんじょう君、山積みにされている
© Susaki City
内装はいたって普通の道の駅
© 2005-2012 Kochi Visitors & Convention Association

まさにしんじょう君の本丸だ。多くの名産品を取り揃えているだけでなく、とてつもない数のしんじょう君が揃っている。また、 店内ではワラ焼きタタキの実演販売も行われている。

市政としんじょう君

なんとしんじょう君は2014年のふるさと納税額400万円をなんと翌年には5億9000万円まで増加させている。前年比300倍、とてつもない数字と言える。

そんなしんじょう君の生みの親が、しんじょう君のアテンドを務める超公務員こと守時健氏だ。市のマスコットを企画した彼は見事にしんじょう君を2016年ゆるキャラグランプリ優勝へと導くばかりか、市に莫大な利益をもたらすまでに至った。彼の紹介はTwitterのリンクを貼るとともにこのあたりで留めておく。

初代しんじょう君

「初代しんじょう君」の画像検索結果
© THE MAINICHI NEWSPAPERS.

少し脱線しよう。実は現在のしんじょう君は二代目だ。初代しんじょう君というなんともレトロなキャラクターが存在していたのだ!須崎市民の間では有名なものの現在Twitterで殆ど目にすることはない。

2002年に登場した初代しんじょう君。長い間市のマスコットとして君臨してきたのだが、モデルのニホンカワウソが環境省により絶滅種に指定されたこと、登場から10年が経過していたこと、デザインがダサいとの苦情があったことなどを踏まえて二代目しんじょう君の公募をするに至ったというわけだ。そして初代しんじょう君は二代目しんじょう君のお披露目とともにひっそりと表舞台からは姿を消してしまったのだ。しかし、どうやら画像の看板やゴミ袋などには生き残っているらしい。絶滅種をモデルにしたキャラクターを絶滅はさせないという粋な計らいなのかもしれない。

この公募を企画したのが先述した守時氏なのだが、彼としんじょう君の活躍の影には、尊い犠牲があったのである…

その全貌は須崎市のHPでロイヤリティフリーとして公開されていた。現在は公開されていないもののWebArchiveからも確認できる。確かにこれがマスコット?と問われればなんともいえないデザインである。

けどこれはこれでとてもかわいい

二代目しんじょう君の人気

2013年にお披露目されたしんじょう君。この年のゆるキャラGPでは14位という結果だった。ここから14,15年と連続で4位を獲得し、見事2016年にゆるキャラGP優勝という栄冠を手にするに至る。

さて、ではどうやってしんじょう君がグランプリを獲るに至ったのかというと、「Twitterでのファンとのリプライでの交流」であったり、「帽子を他のマスコットに被せる」であったり。どちらもSEO効果は抜群であり、たとえば後者は他のマスコットとの交流により相乗効果が望める。このように試行錯誤を重ねた、と守時氏は幾つかのインタビューで語っていた。優勝はこういった地道な活動が実った結果といえよう。

しかし、人気を上げるための活動に町全体の理解が得られなければマスコットによる町おこしは頓挫するのだ。税金で成り立つ自治体の企画である以上、ムダであれば切り捨てられるのも当然。その苦難を乗り越えてきたからこそ、現在のしんじょう君がいる。そして、詳しくは後述するが、しんじょう君はなんと2015年に前年比300倍となるふるさと納税の収益を叩き出す。地道な活動の成果であり、数字上も町に認められた実績でもある。

そしてなにより忘れてはならないのが、この企画を村全体で応援した須崎市民の存在であるといえよう。しんじょう君の成長を街全体で見守り、応援し、今のしんじょう君がある。日本中で人気なキャラクターとなった源は、他ならない最もたる地元の人達の愛だ。駅舎の一部を記事冒頭で紹介したが、本当にまちなかがしんじょう君で溢れている。それがなによりの証拠である。

私の知人に須崎出身の人間がいて、私がしんじょう君のファンになったのもその知人の影響である。その知人は須崎在住ではないが、しんじょう君の良さを私に熱弁し、GPを獲ったときはなにより嬉しかったと語っていた。ああ、愛されてるんだなと実感した瞬間だ。

そして私が須崎に足を運んだのは一昨年、四国半周旅行をしたときのことだ。道中隣の町の窪川にある四万十町役場の職員さんらとお話する機会があったのだが、今日の目的地が須崎であることを伝えると「しんじょう君目当てで!やっぱりしんじょう君すごいなあ」と小声でつぶやいていたのが印象的だった(笑)。隣町の人間もびっくりな人気なんだなぁ、とここでまた一つ実感した。

ふるさと納税

私がもっとも着目すべき点は、ふるさと納税の返礼品はしんじょう君のグッズよりもみかんやカツオなどの地元の特産品が多いということなのだ。この返礼品を生産しているのは須崎市民に他ならない。

少子高齢化は今や日本を揺るがす社会問題となっている。その元凶は東京一極集中による地方の過疎化だ。そういった現状をどう打開するのか、東京都が人口集中を回避する道を模索しているように地方自治体も苦悩している。須崎市もその数多ある田舎の自治体の一つに過ぎない。そんな中で須崎市が企画したのが「マスコットによる村おこし」である。

須崎市はマスコットとふるさと納税の相乗効果に着目した。マスコットの強みは情報発信力、その情報発信力はふるさと納税の命といえる。その戦略が見事にハマり、なんと2014年までは200万円だった納税額が2015に5億9千万円に膨れ上がった。2016年には10億という大台に乗り、その後も額は着々と増え続けている。そしてなんと今年はその効果が認められふるさとチョイスアワードを受賞するに至ったのである。しんじょう君の貢献が高く評価された結果だ。

では須崎市が返礼品に何を用意しているかというと、もちろんしんじょう君グッズもあるが、それよりみかんやかつおなどの農産品海産品といった須崎の特産品が目立つ。そう、この特産品を生産しているのは他ならない須崎の地元民であり、このふるさと納税の成長を生み出し支えた原動力は市全体の産業なのだ。しんじょう君頼みではなく、返礼品に特産物を選んでもらえるよう努力しているように、マスコットも住民も地域一帯となって村おこしに取り組む姿勢は、まさに地方自治体の村おこしの理想形なのではないだろうか。

しんじょう君をプロデュースし、ここまで成長させた守時氏の手腕は高く評価されるべきだし、それと同等に、いや、それ以上に須崎市民をはじめ須崎市全体のちからというものはもっと評価されるべきだと私は考える。

おわりに:みんな須崎市に行ってみて!

私が一昨年四国半周旅行をした際に須崎に立ち寄る計画を立てた旨を知人に伝えたところ、「本当に何もないから行くだけ時間の無駄だ、魚しかない」と止められた。しかしそれでも私は行ってみようと思った。

須崎駅に到着しホームに降りたら真っ先にしんじょう君の顔出し看板のお出迎え。はじめてのご対面ということもあり早速カメラを向けると駅員さんが急に現れ「せっかくだから撮りますか?」と声をかけてくれた。とても親切だな、と思った。その日の夜は高知市に宿を取っていたので、写真を撮ってくださった駅員さんに指定券の手配をお願いし一旦須崎を後にした。

翌日、また須崎に訪れると嬉しいことに駅員さんは顔を覚えてくださっていた。改札の際に会釈してもらい、少しうれしくなった。都会ではなかなかない体験である。しかしその駅員さんも言っていた。「須崎には何もないよ…もっと高知市内とか観光すればいいのに」とJR職員が言うのだから説得力があるように感じたが、それでも私は須崎市を観光することにした。

その日は一日須崎の街を歩いて回った。松山であったり高知であったり、確かに観光名所に溢れている中心市街地に比べたら観光資源に乏しい街だった。駅員さんが言うんだからよく考えれば当たり前だ。しかし、海はきれいだし魚はおいしいし、なによりその駅員さんをはじめとして本当に街の人みんなが親切だった。

鉄道ファンの私にとっては安和駅と安和海岸は本当にいい駅で、本当に感動した。様々な路線を乗り潰してきたが、本当に訪れてよかったと思えた駅である。カツオはもちろん名物のウツボも頂いた。初めて食べたがとても美味しかった。「魚は美味い」言う知人の通りだった。B級グルメ鍋焼きラーメンも頂いたが、本当に食べ物に恵まれた街だなあ、と実感した。

そしてご厚意にして頂いたお礼に、須崎駅でしんじょう君がデザインされた記念入場券を販売していたので2枚買った。とてもかわいい。

残念ながら私は免許を持っていないため観光できる範囲が限られてしまった。もし車が使える状態になって再訪できたらぜひ浦ノ内湾の方にも足を運びたいものである。

終わりになるが、この騒動で須崎市の名前を知った方、少しでも須崎市に興味を持ったマスコットファンの方々、ちぃたん☆ファンの方々…etc.

ぜひ、少しでも面白そうだな!と思ったらぜひ一度でいいので須崎市に足を運んで欲しい。マスコットと人が一体となったとても居心地のいい町だ。魚は美味しいし海はきれいで、田舎町ではあるが本当に魅力多い街だ。

ちぃたん☆が観光大使を解任されてしまった原因は所属事務所の悪行が元凶だ。ちぃたん☆そのものに罪はない。このような騒動になってしまったことは須崎市、しんじょう君にとっては不本意だっただろうが、きっかけは何であれ須崎市の魅力が広まるという結果になることが、ちぃたん☆としんじょう君ふたりの本望だと私は思うのだ。

終わりになるが… 残念なことに須崎市に対するバッシングは止まらない。しかし、須崎市民でもなんでもない東京都民の私も応援していることを伝えたい。

しんじょう君、頑張れ!!!


騒動についてはこちらのサイトで詳しくまとめられている。

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Posted by esmal